「世界の農業食料情勢」
「世界人口増加と農地の動向」「食料生産の不安定要素の増大」
2016年度の日本農業検定1級の【問3】では、世界の農業食料情勢の人口動向等について問われた。また、【問4】では食料生産の不安定要素、中でも人為的要因について問われた。
【問3】では合計特殊出生率や人口置換水準といった普段聞きなれない言葉が出題されている。これらの言葉の意味をしっかり押さえれば答えは導かれる。
合計特殊出生率(TFR:total fertility rate):人口統計上の指標として、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの。1人の女性が一生に産む子どもの数を示す。
※日本では厚生労働省の「人口動態統計」を基に内閣府が作成。
- 日本(2015年)1.45人
- タイ(2013年)1.4人
- 韓国(2015年)1.24人
- シンガポール(2015年)1.25人
- 香港(2015年)1.2人
- 台湾(2015年)1.18人
人口置換水準:人口が増加も減少もしない均衡した状態になる合計特殊出生率の水準。現在の日本は2.07が必要水準。
【問4】については、砂漠化・土壌劣化についての要因について問われている。下記の割合が頭に入っていれば解ける。難しいことは抜きに、「砂漠化の主要因は人為的要因で、過放牧・過伐採・過開墾・過灌漑だ」と押さえておけばよいかなと。
砂漠化=自然的要因(13%)+人為的要因(87%)
2016年度本試験問題より
【問3】世界の人口動向の指標の説明で、間違っているものは次のうちどれですか。
- 人口変化の原動力は、出生率(正確には「合計特殊出生率」)である。
- 合計特殊出生率とは、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性が一生に産む子どもの数を示す。
- 人口置換水準とは、人口が増加から減少に向かう合計特殊出生率の水準である。
- 出生力転換とは、多産から少産へ移行することで、先進国の多くは出生力転換を終えている。
【解答】3
【問4】世界に広がる砂漠化・土壌劣化の説明で、間違っているのは次のうちどれですか。
- 現在、世界では、1年間に日本の農地面積以上の農地が砂漠化しているといわれている。
- 砂漠化の要因は、自然的要因と人的要因があり、自然的要因が8割以上を占めるといわれる。
- 自然的要因は、地球規模の気候変動、長期の干ばつ、降水量の減少などである。
- 人的要因は、放牧家畜の過剰飼育、燃料用の薪や住居用の木材の過剰伐採、不適切な農地灌漑によって土壌面に塩類が集積して不毛化することなどがある。
【解答】2
「2017年度試験対策」
2017年度の試験については2回目となります。実際のところどこまで試験問題が変更になるのか見当もつきませんが、それなりの対策が必要かと思われます。
- 国際連合「World Population Prospects : The 2015 Revision」によると2050年の世界の人口上位5ヶ国は1位インド、2位中国、3位アメリカ、4位ナイジェリア、5位ブラジルである。
→× 1位インド、2位中国、3位ナイジェリア、4位アメリカ、5位インドネシア。
- バイオエタノールとは油糧作物(ナタネ、ヒマワリ、パーム)や廃食用油を原料として製造する軽油代替燃料である。
→× バイオエタノールとはトウモロコシやサトウキビなどを発酵させてアルコールをつくり、ガソリンと混合して利用する。問はバイオディーゼルの説明。
世界の農業食料情勢分野については、全部で2問出題されている。公式テキストP10からP15までで2問なので重要な分野といえそうです。