「農業環境と保全と整備」
「世界農業遺産の意義」
2016年度の日本農業検定1級の【問25】では「世界農業遺産」について問われた。普段なかなか聞きなれない内容なのでこの問題を解いて理解していきたい。
2016年度本試験問題より
【問25】「世界農業遺産」の説明で、正しいものは次のうちどれですか。
- 世界農業遺産は、国連食糧農業機構(FAO)が2002年に創設し、2015年末時点で、ヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの15ヵ国、36地域が認定されている。
- 世界農業遺産の認定は、伝統的な農業手法による土地利用や、それによって維持されてきた文化風習、景観、生物多様性の保護を目的としている。
- 世界農業遺産は、農業手法(システム)の保全・継承を重視しており、農業の効率向上のための改善(機械化など)は認められていない。
- 「世界遺産」と「世界農業遺産」の両方に認定・登録されているところもあり、その登録エリアは同じである。
【解答】2
選択肢1については、2015年末時点で、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの15ヵ国36地域が認定されており、問題文の「ヨーロッパ」の認定はないので誤り。
選択肢3については、農業の効率向上のための工業化を認めているので、誤り。
選択肢4については、フィリピンにあるイフガオ州の棚田は「世界遺産」と「世界農業遺産」両方に認定をされているが、認定基準や認定範囲は異なる。よって、登録エリアは同じという記載は誤り。
「2017年度試験対策」
2017年度の試験については2回目となります。実際のところどこまで試験問題が変更になるのか見当もつきませんが、それなりの対策が必要かと思われます。
FAOは従来、食糧危機を見据えて農業の大規模化を推進し品種改良や肥料を大量に用いることでの生産性・収穫量の向上を是としてきた。
→〇
世界遺産は伝統的な農業手法の伝承(無形財産)とそれをおこなう農地や周辺環境(文化的環境・環境財)の保護を目的としている。
→× 「世界農業遺産」の説明で、世界遺産は不動産有形物を対象とし、その厳正保護を目的としている。
世界が出題されているので、日本における世界農業遺産の分野も出題しやすそうなのであわせて勉強しておきましょう。